インプレッセイ(序)


現在40歳前後である我々の世代は、ある意味で幸せであると思う。


考えてみれば、わたしがガキだった昭和40年代は、まだまだ戦後だった。
街のなかに自然があった。空き地があった。子供と大人の世代を越えたコミュニケーションがあった。

しかし、経済成長に支えられた消費経済の爆発的な拡大は、その環境を破滅させた。

すべからく「昔」が良いのはあたりまえであるから、ここでノスタルジーを語るつもりはない。

しかし、棄てていった不便さ、手に入れた便利さ。
果たしてどちらが、本当に気持ちよいものであったのだろう?


我々はその変化を身をもって感じてきた世代である。

そして、その最も象徴的なものが「モノ」であると思う。

白黒テレビがカラーテレビへ。レコードがCDへ。マニュアルのカメラがフルオートに。
車のトランスミッションがオートマに。などなど・・・。
(挙げればキリがないが、モノすべてがそうであるのかも知れない)

今までに存在していても不完全だったモノ、あるいは今まで全くなかったモノが、
劇的に完成されていく様、あるいは崩壊していく様を、確かに我々はこの目で見てきた。

わたし自身もこの時代に存在するいろいろなモノを使って、今まで生きてきたわけである。
そして当然のことだが、(何を基準にするかは大問題であるが)良いと思えるモノがあり、
悪いモノがあった。

わたしがここで語りたいのは、わたし自身が感じた「モノの手触り」である。

機能的に良いモノ、悪いモノという観点ではなく、ごく個人的な感覚で。

決して最新がベストではない。しかし、ノスタルジックなモノがベストでもない。
それがブランド品であれ、大量消費材の安物であれ、それに関係なく、
わたしが感じた手触りを一番の拠り所としてここに記したいと思う。


わたしの感覚が、その手触りを忘れないうちに。



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